台風のまえ、この辺りは穏やかな晴れ間で、静かな時間を楽しんでおります。
皆さま、いかがお過ごしですか。
わたしは今日これから、小説をひとつ仕上げます。晴れているうちに犬を連れ、近所の年上の作家の友人宅に立ち寄る予定です。
今書いている物語は大学生が主人公なので、いわゆる「若者言葉」を、友人のお嬢さんにチェックしてもらっていたのです。
わたしには、年上の女性の友人が沢山おり、その存在にいつも、助けられています。
どの女性も、「こうなりたい」と強く思わせ、何かあれば即答で引き受けてくれる決断力があり、いつも温かく、地域の為に、子どもたちの為に、と考え、活動・行動・生活している、素敵な人ばかりです。
幼少期からそれこそ三十代半ばまでずっと、わたしには目標とするような、年上や大人の女性はいませんでした。
子どもの頃は新興住宅地に住み、環境は良かったのですが、新興住宅地特有の画一化は著しく、どうしても地域の力やバイヤスの関係に、限界があったのだ…と思います。
父親たちは都内へ通うサラリーマンがほとんどでしたので、「様々な職種で働く大人たち」を日常の中で目にする機会は、本当にわずかでした。
一方、わたしの母はいわゆる下町出身の人で、「近所に同い年から異年齢まで、様々なタイプのいとこが住んでおり、ワイワイしている」、というバイヤス感満載の環境で育っており、母の昔話を聞くたび、子ども心に、羨ましかったものです。
もちろん、新興住宅地にはその良さもあり、縦やバイヤスが弱いぶん、横のつながりは強く、小中学の同級生たちとは、今でも熱い絆で、結ばれております。その関係は、一生続くでしょう。
そして二学年上の先輩たちは優しく、カッコ良く、多感な中学生の頃に、「ああなりたい」と思えた感情は、一生の宝物です。
しかし、それ以上年上の人との交流は乏しく、残念ながら中学以来、わたしのロールモデルはずっとずっと、不在でした。
十年ほど前、カリフォルニアから今の街へ引っ越してきて、商店街の方々に見守られながら、駅前の小学校へ六年間通った娘を見ると、自分に当時足りなかったものを、大人になってから頂戴した気分になり、娘が卒業した今でも胸が、熱くなります。
「子どもは地域の宝です」と言葉にして下さった食品店のマダム、下校途中一年生の娘に声を掛け、トイレをお貸し下さったお寿司屋さんの大将、手作り駒を下さった通りすがりの方に、転んだ娘にバンドエイドをご自宅で貼って下さった、女性。薄暗くなっても店灯りが優しく外を照らして下さった、アイスクリーム屋さん。
全ての方がわたしのロールモデルであり、娘のロールモデルでもあります。
皆さんの温かさに感謝しつつ、わたし自身も、自分に出来ることで、今後とも、地域に貢献してゆく気持ちでいます。
そして大切なのは、この気持ちを定期的に、思い返す、ということ。
皆さまにとって、実りある一日となりますように。
湘南the evening Star